整形外科では、リハビリや移動介助で患者に直接関わり話しをする機会が多くなります。人と話すことが好きな人にとっては、とてもやりがいのある診療科だと言えます。しかし、患者とのコミュニケーションの中で問題が起きる場合もあります。それは、看護師と患者という立場や知識の違いによって、言葉を間違って捉えてたり会話に食い違いが生じたりすることです。
例えば、ベッドで安静にしていてほしい時に「ベッドの上で安静に過ごしてください」と伝えても、患者によっては「ベッドの上で動くこともできないのか?」「起き上がるのもダメなのか?」と1人1人解釈が違ってきます。看護師としては「ベッドの上で安静にする」の意味は統一されていますが、患者にとっては日常的な表現ではありません。「安静」と一言で伝えられても、どのような状態なのか理解できないこともあるのです。これは、看護師が日常の業務として慣れが生じ、患者の視点に立つことを忘れてしまっていることが原因です。
看護師にとっては日常化している言葉でも、患者には理解できなかったりうまく伝わらなかったりすることを頭に入れておきましょう。そして、患者への説明や指導を行う時は、誰でもわかる言葉や表現を使い具体的な数値を盛り込むなどして、しっかり伝わるように工夫することが大切です。先ほどの例を改善すると「ベッドの上で起き上がっても良いですが、ベッドから足を降ろしたり歩いたりしてはいけません」という表現になります。普段から、患者の視点に立って、どんな言葉や表現が理解できなかったり誤解を招いたりするのか注意深く観察しましょう。